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ミネラルのはなし

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ミネラルとは?

人間の身体の96.7%は、酸素・炭素・水素・窒素の4元素で構成されています。残りのカルシウム、リン、ナトリウム、鉄、亜鉛、銅などの元素を含め、総称してミネラルと呼ばれています。ミネラルには、有害ミネラルと必須ミネラルがあり、有害ミネラルの蓄積や必須ミネラルの欠乏は様々な不定愁訴(不眠・冷え性・抜け毛・肌荒れ・疲労感等)や生活習慣病に関与するといわれています。

有害ミネラル
有害ミネラルは、人体に影響を及ぼし、体内での有用性が現在のところ認められていないものをいいます。具体的には、カドミウム、水銀、鉛、ヒ素、ベリリウム、アルミニウムが有害ミネラルとされています。

 

毛髪ミネラル検査は有害ミネラルの体内蓄積を早期に発見する方法として、よく用いられています。毛髪ミネラル検査で有害ミネラルの蓄積レベルを知り、その排泄のための対策を講じるのが良いでしょう。

必須ミネラル
必須ミネラルは、身体機能の維持や調節に欠かせない栄養素です。現代社会
では、不足しがちな栄養素ですが、多すぎても健康の維持・増進には好ましくありません。また、必須ミネラル相互のバランスも重要です。

Na
ナトリウム
ナトリウムは、血液や体液などの細胞外液に多く存在するミネラルであり、体内の浸透圧、酸一塩基平衡の調節、恒常性の保持など、重要な役割を果たしています。通常の食生活ではナトリウムが不足することはありませんが、大量の汗をかいた場合には、昏迷などの欠乏症状が現れることがあります。


欠乏による疾病や症状
熱中症


過剰による疾病や症状
高血圧・浮腫

 


 K 
カリウム

カリウムは生体内で3番目に多いミネラルであり、その多くは細胞内に分布しています。細胞外液に多く分布するナトリウムと協力して、細胞内外の電解質浸透圧バランスを保ち、心臓の拍動や神経伝達をスムーズに調整します。ナトリウム摂取量の多い我国では、ナトリウムの排泄を促すカリウムの摂取が大切です。(但し、腎不全の場合には禁忌です。)


欠乏による疾病や症状
高血圧・慢性疲労症候群


過剰による疾病や症状
一般的に過剰症になることはまれです。

 


Mg
マグネシウム

マグネシウムは、古代ギリシャのマグネシア地域で採れた白マグネシウムに因んで名付けられました。マグネシウムは様々な代謝反応に必要なミネラルですが、体内のマグネシウムの約70%は骨に分布します。マグネシウムが欠乏すると、カルシウムと共に骨から溶出(脱灰)され利用されます。カルシウムとのバランスが重要であり、マグネシウムの不足は、高血圧や糖尿病、心疾患などの生活習慣病に関連するといわれています。


欠乏による疾病や症状
骨粗鬆症・ストレス性潰瘍・便秘・腎・尿路結石
糖尿病・痛風


過剰による疾病や症状
下痢・軟便


ca
カルシウム

カルシウムは、石灰(炭酸カルシウム)として利用されてきたミネラルです。ミネラルの中で最も多く体内に存在し、その99%が骨・歯に分布しています。残りの1%が血液凝固や心臓・血管・筋肉の収縮、神経活動、ホルモン分泌などに関与し、重要な役割を担っています。カルシウムが機能するためにはマグネシウムが必須であり、カルシウム対マグネシウムが2:1から1対1程度のバランスのとれた摂取が必要です。


欠乏による疾病や症状
骨粗鬆症・高血圧・動脈硬化・神経過敏症


過剰による疾病や症状
腎・尿路結石・ミネラルの吸収阻害

 P 

リン

リンは、カルシウムに次いで生体内に多いミネラルであり、その多くはカルシウムと共に骨・歯などの硬組織を形成しています。細胞内では各種リン酸化合物として生理・生化学的反応に関与し、細胞外ではリン酸イオンとして体液の酸一塩基調節に関わっています。加工食品や清涼飲料水に広く添加されているので、過剰摂取に注意する必要があります。


欠乏による疾病や症状
骨粗鬆症・発育不全・腎・尿路結石


過剰による疾病や症状
カルシウム吸収阻害・副甲状腺機能低下


Se
セレン

セレン(セレニウム)は、ギリシャ語の月(Selene)に因んで名付けられました。かつては毒性の強い元素として知られていましたが、抗酸化機能を有するミネラルとして注目されています。また、亜鉛・マグネシウムと共に、有害ミネラルの解毒に有効なミネラルです。


欠乏による疾病や症状

克山病 (心筋症)・カシンベック病(変性骨関節障害)


過剰による疾病や症状
爪・皮膚・歯の変化・脱毛

 I 

ヨウ素
ヨウ素は、ナポレオン戦争の時代に、海藻から火薬を製造してい
る際に発見されたミネラルです。甲状腺に多く存在し、甲状腺ホル
モンの構成成分として重要な役割を担っています。甲状腺ホルモン
は基礎代謝に関わり、胎児・乳幼児の発育に欠かせないホルモンで
す。海藻類を多く摂取している日本人はヨウ素不足になることは稀
ですが、山岳地帯や内陸部の国では深刻な問題になっています。


欠乏による疾病や症状
甲状腺腫・甲状腺機能異常、発育遅延


過剰による疾病や症状
甲状腺腫・甲状腺機能異常


Cr
クロム

クロムは土壌、淡水、海水など自然界に存在しています。インスリンの働きを助ける「耐糖因子」の構成成分であり、糖・脂質代謝に欠かせないミネラルです。欠乏すると、インスリン感受性の低下が報告されています。又、一部の糖尿病患者ではクロム濃度の低値、クロム投与による耐糖能の改善などが報告されています。


欠乏による疾病や症状
耐糖能異常・動脈硬化


過剰による疾病や症状
腹痛・下痢・尿細管障害


Mo
モリブデン

モリブデンは、核酸と含硫アミノ酸の代謝に必要なミネラルです。痛風の原因物質でもありますが、内因性抗酸化物質としても知られる「尿酸」を作る酵素や、悪酔いの原因物質「アセトアルデヒド」を処理する酵素の構成成分として重要な役割を担っています。欠乏すると、頻脈、頭痛などの症状が現れると報告されています。銅とのバランスが大切であり、モリブデン摂取量が多く銅摂取量の少ないアルメニア人では、高尿酸血症が報告されています。


欠乏による疾病や症状
長期完全静脈栄養法を受けている場合に、頻脈、頻呼吸、
頭痛、悪心、嘔吐、昏睡が報告されています。


過剰による疾病や症状
銅欠乏・貧血・高尿酸血症


Mn
マンガン

マンガンは、土壌、淡水、海水などに広く分布しているミネラルで、穀類、種実類などの植物性食品に多く含まれています。生体内ではミトコンドリア内に多く分布し、活性酸素を消去するスーパーオキシドジスムターゼ (SOD)の構成成分として、酸化ストレスに対抗するために欠かせないミネラルです。不足すると、糖脂質代謝、骨代謝、生殖機能、皮膚代謝などに影響を及ぼすといわれています。愛情ミネラルともいわれています。


欠乏による疾病や症状
成長障害・骨格異常・糖耐性障害・生殖機能障害


過剰による疾病や症状
神経障害・肺炎

Fe

鉄は、古代ギリシャで貧血治療に用いられていた形跡があり、古くから知られているミネラルです。体内の鉄の約70%は、赤血球の血色素(ヘモグロビン)の形で存在し、酸素の運搬や細胞呼吸、エネルギー代謝に重要な役割を担っています。月経のある女性や妊娠中の女性は、充分な摂取を心がけることが必要です。鉄剤などで過剰に摂取すると、活性酸素を増やし、障害を起こす可能性もあります。


欠乏による疾病や症状
鉄欠乏性貧血(冷え性・疲労・肩こり)・氷食症


過剰による疾病や症状
嘔吐・下痢・蒼白・頻脈・呼吸促迫・ヘモクロマトーシス

Cu

銅は古代から様々な用具や武器として利用されてきたミネラルです。鉄と共に、細胞呼吸、エネルギー代謝に重要な役割を担っており、活性酸素の消去にも関与しています。また、鉄の輸送・代謝にも関わり、ヘモグロビンの生成を促します。亜鉛とのバランスも重要です。プールに入る習慣のある人は、外的要因の銅汚染により高値を示すことがあります。


欠乏による疾病や症状
銅欠乏性貧血・動脈異常・メンケス病(先天的代謝異常)


過剰による疾病や症状
嘔吐・下痢・ウィルソン病(先天的代謝異常)

Zn

亜鉛

亜鉛は、体内の300種類を越える酵素の構成成分として、遺伝子発現、たんぱく質合成など様々な反応に関与し、生命活動に欠かせない重要なミネラルです。主な欠乏症状として、皮膚障害と味覚障害がよく知られています。
亜鉛は、有害ミネラルを解毒するメタロチオネインや、活性酸素を消去する酵素にも含まれています。


欠乏による疾病や症状
免疫機能低下・味覚障害・皮膚障害・精子産生能低下
成長遅延・損傷部位治癒力低下・骨形成異常・貧血


過剰による疾病や症状
嘔吐・下痢など消化器系疾患

 V 
バナジウム
バナジウムは、血糖値を下げたり脂肪の燃焼を促進したりすると報告され、注目を集めて
いるミネラルです。


欠乏による疾病や症状
成長遅延 脂質代謝異常・生殖不全*
過剰による疾病や症状
喘息性気管支炎 貧血 アレルギー

 


Co
コバルト
コバルトは、ビタミンB12の構成成分です。 ビタミンB12は、核酸合成に必須なため、 造血機能の他に、新陳代謝の盛んな消化管、中枢神経系の維持にも欠かせません。動脈硬化の原因とされているホモシステインの血中濃度を下げる働きもあります。


欠乏による疾病や症状

悪性貧血


過剰による疾病や症状
まだはっきりとはしていません。

Ni
ニッケル
ニッケルが不足すると成長が抑制されるといわれています。 核酸の安定化したり尿素を分解したりする酵素に含まれています。またニッケル皮膚炎はアレルギーとして有名です。


欠乏による疾病や症状
成長障害 造血障害・血糖低下 
血中のカルシウム 鉄 亜鉛の減少


過剰による疾病や症状
接触性皮膚炎 (ニッケル皮膚炎)

 


Ge
ゲルマニウム
ゲルマニウムは、インターフェロン誘導作用・免疫調節作用・
抗腫瘍作用などあるようですが、健康食品としてゲルマニウム
を長期間摂取したことによる腎障害末梢神経障害など、重篤な副作用が報告
されています。


欠乏による疾病や症状
まだはっきりとはしていません。


過剰による疾病や症状
食欲不振・吐き気・貧血・ 神経障害・腎臓障害


Li
リチウム
リチウムは、ナトリウム カリウムと同じグループに属します。躁病の治療薬として使用されており、吐き気、下痢、食欲低下、発熱、発汗などの副作用が報告されています。


欠乏による疾病や症状
成長障害、造血障害過剰による疾病や症状
神経系障害・吐き気 下痢・食欲低下 発熱・発汗

 B 
ホウ素
ホウ素は、骨の形成に関与すると言われていますが、いまだ分からない部分の多いミネラルです。


欠乏による疾病や症状
成長遅延骨異常
過剰による疾病や症状
ホウ酸中毒症 (悪心・嘔吐・下痢・皮膚炎など)

 


Br
臭素
臭素は、ポリ臭素化化合物 PBDEなどの難燃剤や、鎮痛剤などの医薬品 に使用されていま
す。


欠乏による疾病や症状
成長遅延・不眠


過剰による疾病や症状
精神・神経症状など

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